衆議院選挙と同時に行われた川崎市長選挙の結果は、現職の福田氏が当選しました。市古氏が落選してがっかりした人も多かったと思います。
市長選挙に先立ち、私たちは、「会」の決め事を諮る、「みんなの集い」を開き、鷺沼問題で福田氏と市古氏に公開アンケートをお願いしました。福田氏は回答もしてきませんでした。市古氏は2回「会」の会合に参加して、「会」の主旨に全面的賛同を頂きました。
市長選挙での3人の立候補者の態度は、福田氏は現職の市長として、鷺沼駅前再開発の推進の中心です。市古氏は、私たちの「会」の主旨に賛同し、区役所移転反対・鷺沼駅前再開発見直しの立場を明確にしました。川村氏は直前の立候補で、この問題での態度は分かりません。
市古氏は、「会」の要請に応え、鷺沼問題の4万枚のチラシをまき、公開討論会でも鷺駅前再開発を批判し、宮前区での街頭宣伝では、大いに鷺沼再開発問題を取り上げました「会」の仲間も区役所・鷺沼の旗を持って、市古氏の候補者カーの演説が行われたところ、川崎北部を中心に、どこへでも行きました。市古氏は2回目の市長選挙立候補ですが、川崎市内7区のなかで、宮前区では、前回より票を大幅に伸ばしました。また、白票が3600票と、どの区よりも多く出ました。衆議院選挙と違って、支持している政党が推す候補者ではなく、政策などで判断した結果、鷺沼再開発問題を考慮した有権者が多くいたと考えるのが順当です。鷺沼駅前再開発推進の東急・準備組合、川崎市も市長選挙の結果をどう見るか、真摯に考えていただきたいと思います。
11月19日の岩見良太郎先生(埼玉大学名誉教授・都市問題)の鷺沼駅前地区市街地再開発事業に関わる調査研究の講演会「鷺沼駅前再開発はだれのためか」には、85名の聴衆が詰めかけました。「会」の行事に初めて参加した人が60人以上でした。質問時間は、さながら参加者の意見発表会になり、「タワマン中止すべきだ」「川崎市議会はなにをやっているのか」「聞けば聞くほど疑問だらけだ」などの反対、見直しや運動への具体的提案などの意見がでました。講演会後、「会」のメール会員に10人近くが新たに登録しました。
コロナパンディミックで1年半の見直し期間を余儀なくされた鷺沼駅前再開発事業は、まもなく見直し期間が迫ってきている中、コロナ第6波の懸念が出てきました。国土交通省のコロナ危機での見直しの主旨は、緑とゆとりです。東急見直し案では、壁面緑を増やす、駅前街区と北街区にペデストリアンデッキでつなげる見直しです。桜並木の伐採とフレル前の市道鷺沼線の廃道、市道久末鷺沼線(横浜銀行前)の道路幅を拡張はせずに、2車線を3~4車線にする計画はそのままです。今でも朝晩の渋滞が激しく、車で近づけません。家族の通勤、通学のためにマイカーで鷺沼駅にくる車は、市道鷺沼36号線(みずほ銀行側)のもう一本裏の道に着けて乗り降りしています。そこも混雑します。道路幅をそのままにして車線を増やすと、いまより大渋滞を引き起こすことになります。
東急は、コロナ危機によってリモートが普及し、サラリーマンと学生の通勤、通学が減少し、定期代という安定した収入源の減収が続いています。また、同じ理由で各企業のオフィスビル需要が激減して、東急所有の渋谷を中心とした20数棟のオフィスビルの入居率は約70%です。この東急の経営問題と関連して、東急・準備組合の巻き返しは、むずかしい局面をむかえています。
また、講演会で示された根強い区民の疑問と反対、「会」の運動の高まりがあります。
鷺沼問題は、21年12月から22年に向けて新たな展開が予想されます。
現区役所を存続し、鷺沼再開発を考える会事務局長 猪俣 博