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update on 11/07/2020

多額な補助金を使い530戸のタワマン建設とコミュニテイの破壊

川崎市宮前区役所・市民館・図書館の移転に反対し鷺沼再開発を考える会
共同代表 小久保善一

1.鷺沼再開発準備組合の東急(株)と川崎市のねらい

川崎市は人口153 万人の指定都市で7 区制、宮前区は市の北部に位置し、23 万人が暮らす自然豊かな街です。そんな街に再開発が突然やってきました。

鷺沼再開発準備組合の東急(株)と川崎市は「まちの賑わいを取り戻すために、本市の地域生活拠点に相応しい整備が必要だとして、 駅を中心に商業、住宅、文化・交流など多様な都市機能のコンパクトな集積と、交通広場整備など交通結節機能の強化をはかる」ことを共通目標に計画を進めています。

区の中心にある区役所・市民館・図書館を区民の合意を得ずに、区の外れの鷺沼駅前に突然移転決定したことに強い反対が起きています。 また、移転先の鷺沼駅前に計画されている2 つの巨大タワーマンションは、交通不便の激化や風害、日照被害など深刻な環境被害をもたらすばかりか、 敷地目一杯の超高層ビルで、憩いの広場も公園も無いゆとりなき開発に見直しを求める声が広まっています。

2.再開発の概要

  • 所在地:川崎市宮前区鷺沼1、3 丁目。小台1 丁目。面積約2.3 ha
  • 施行者:(仮称)鷺沼駅前再開発地区市街地再開発組合
  • 開発種類:第1種市街地再開発事業。川崎環境アセスの第1種行為(最大規模を表す)
  • 事業費(市の概査):約400憶円から500憶円、補助金約80憶円から100憶円(会の試算で150憶円)。
  • 内容:駅前街区に146m37 階建て、北街区に92m 20階建ての超高層ビル530戸で建物面積の6割方は住宅が占めるタワマン。
  • 区役所・市民館・図書館の公共施設と商業、交通広場(バスターミナル)等。
  • *市民には具体的な事業計画を示さず、実際と異なるイメージ宣伝で賛成世論を誘導する手法。

3.これまでの経緯と問題点

<経緯>

  • 2015年6月:東急電鉄(株)と川崎市が駅と沿線を中心とした包括連携協定を締結
  • 2017年3月:協定に沿った形で川崎市都市計画再開発方針や市の総合計画に改定
  • 2017年8月:地権者5社により準備組合を設立(東急系3 社は地権者の実態がない)
  • 2018年3月:宮前区向丘地区町会長・自治会長会議での市の説明は「東急( 株) から鷺沼再開地区へ区役所を移転しないか、 1 年以内に決めて欲しい」と打診があったが市は未定と説明。
  • 2018年5月:宮前区まちづくり第1 回フォーラム開催で初めて市民に説明
  • 2019年3月:市長は区役所等公益3 施設を区の中央の宮前平から鷺沼に移転決定。
    その後準備組合の東急(株)と市は住民説明会開催要求を拒否。
  • 2020年7月:市民に始めての住民説明会を開催(条例に定められた環境アセスと都市計画素案で事業計画事態の説明はない)
  • 2020年8月:都市計画と関連案件に関する公聴会(12名が公述、反対意見9名)

<問題点>

  • (1) 2015年に東急電鉄(株)と市の間で18年3月までの期限付きで「駅を中心とした沿線のまちづくり包括連携協定」を締結し、 2017 年に協定に合わせて市の総合計画や都市再開方針を改定。 市民意見の反映は無く、最初から東急(株)優先の街づくりでした。
  • (2) 市民に対しては、「区役所を移転しなければならない理由はない」 「移転の是非を議論するものではない」といいながら、市長が突 然移転を決めるというダマシうちです。
  • (3) その後、住民は開発事業計画の住民説明会開催を再三申し入れたが、 市と準備組合東急(株)は「説明しなければならない理由はない」として、 事業内容不明のまま、環境影響評価への意見書提出と審議会を開催してきました。 情報公開を請求しても重要部分は黒塗非公開です。
  • (4) 今年7月にコロナ禍を最大限利用して、この時とばかりに、 人数制限の上で条例に基づく環境影響評価準備書と都市計画素案説明会を開催しました。 以上のように、徹底した情報隠しで市民がわからない内に決定するのが市と東急の方針です。
  • (5)東急系3社の実態が無いまま準備組合設立、市はそれを認めるという信じ難い事業です。 組合施行の市街地再開発には、土地の所有権者が最低5社必要です。 5社中、東急(株)を始め東急系3社の土地所有の実態がないことを追及すると20年9月になり、 ようやく敷地面積の0.5%という極小土地を東急系2社が所有していると説明する有り様です。

4.「宮前区役所・市民館・図書館の移転に反対し鷺沼再開発を考える会」の設立と活動

19 年2 月:NPO法人区画整理・再開発対策全国連絡会議の事務局長、遠藤哲人氏の講演会を開催し、 運動に自信深めた所で正式に設立宣言。

  • 19 年1月:12 月に約2,600 筆を沿えて提出した陳情書 「市民周知10%の不徹底状態で公共施設の移転をきめないでください」に対して、 市は「事業者をこれ以上待たすことはできない」として不採択(共産党のみが採択に賛成)
  • 19 年2 月に移転への意見書を17,840 通、23,714 件提出(多くは会の呼びかけによる)
  • 住民説明会開催申し入れ:再三の申し入れで会との話し合いはできたが、住民説明会開催は拒否。
  • 意見書提出:環境影響評価方法書、条例準備書、市民館・図書館基本方針、都市計画公聴会公述。
  • 会による資金計画試算作成:市が資金計画を明かさない中、会は「資金の流れと儲けの仕組みから見た鷺沼駅前再開発」HPに公表。
  • 宣伝・学習会:駅頭等でのビラ宣伝(4万枚)。ホームページ作成。会員メールで情報交換。 2020 年11 月より陳情署名の大運動を予定。

5.鷺沼再開発が引き起こす2つの問題

  • (1) 35 年間、区民のコミニテイ拠点として親しまれてきた「区役所・市民館・図書館」を、 区民の反対を押し切り、突然市長が区の外れの鷺沼に移転決定したコミニテイ破壊。
  • (2) 駅前の幹線道路を廃止して敷地を広げ、建蔽率86%の目一杯のビルを2棟(146 m、37 階、92 m 20 階)建てることで起 きる問題。
    • ①深刻な環境破壊:日影被害358 棟・海抜61 mの高台で起きる強いビル風・電波障害・駅前にそびえる超高層の圧迫感、 交通渋滞、学校や鉄道等の社会資本整備計画不整備等。
      中でも交通問題は最大の問題です。駅前唯一の幹線道路を廃止すれば駅前街区に入る車は一方通行になるため、 どの方面から来る車も1.2 ~3㎞ほどの遠まわりが強要され、渋滞解消どころか不便極まりない。 駐車場は今より約100 台減少するため駐車場待ち渋滞など。
    • ②公共用地減少で、広場も無く緑は減少:鷺沼再開発は多額な補助金投入の結果、 公共用地が減少するという踏んだり蹴ったりの全国的に稀な開発である。
  • ●住民のメリットはない
    市民館・図書館・商業は今と同規模で遠方になるだけ。深刻な環境破壊。 イメージ宣伝に利用した憩いの広場は作らずデッキ広場に変身。公園は無くなり、緑は大幅に減る。 100 憶円を超える補助金と移転費約150 憶円を支出。 この予算があれば図書館・市民館など公共施設や福祉施設等が沢山増やせる。 バスターミナルは、一般車は利用できないため、それほど大規模なターミナルは必要ない。 バス路線整備は採算性を前提としているため多くは期待できない。 そもそも公共施設利用者の4.3% しかバス利用者を見込んでおらず期待するほどではない。
  • ●開発事業者の東急(株)は利益を大きく拡大
    幹線道路廃止で大きな敷地と補助金を手に入れ、530 戸のタワマンが作れる。 地価等不動産価値がアップ。 国の方針「区役所等の公益施設を集客力ある不動産として活用する」の通り公益施設を客集めに利用できる。
  • ●市は開発認可権を持ちながら、市民より開発事業者東急(株)を優先し、チェック機能を放棄。 東急と一緒になって市民に情報を隠し、開発の全容不明なまま、計画の決定, 工事着手を認可しようとしている。 最近では環境影響審議会の市民団体推薦枠5名の委員を廃止し、住民意見が届かない環境影響審議会に改悪しようとしている。

6.私達の提案と要求

  • (1)人口23 万人の宮前区に図書館が1館、市民館2館しかない。 同じ人口規模の他都市と比較すると図書館は調布市11 館、厚木市10 館。 公民館は平塚市26 館、厚木市16 館。鷺沼には図書館・市民館の分館をつくり、今の図書館・市民館を存続させてください。
  • (2)区役所は災害対策本部になる所ですが、鷺沼駅周辺は土砂災害警戒区域であり、 大規模災害時には線路法面や道路橋の崩落の危険があり、移転場所として不適切です。 現区役所を存続させ、鷺沼に支所を設置し向丘出張所の機能充実をはかってください。
  • (3)鷺沼再開発は、憩いの広場や公園を設置し、豊富な緑でゆとりある開発にしてください。 超高層ビルは、災害に弱く、大規模修繕が困難、三密そのもの、コロナ禍共存時代にはもはや適さない。 中~低層への見直しを求めます。
  • (4)川崎自治基本条例に市民の権利として保障されている ①情報共有、②意見表明、③市政の施策形成に関与する権利等を厳守し、住民合意の努力を徹底してください。

再開発をめぐる誤解と現実

NPO法人区画整理・再開発対策全国連絡会議・事務局長
遠藤哲人

●再開発ってなんだ

再開発っていうとよく「権利変換」だと言われる。そしてこの耳慣れない言葉のために何がなんだか分からなくなる。国の説明でもそうだ。 国土交通省都市局のホームページでは、別図囲みにあるように道路用地の話のあとに「権利床」の話が書かれており、 地元権利者の入る建物床を「権利床」と呼ぶというと説明(カッコ内筆者加筆)がある。 再開発事業というのは権利者が権利床をつくるために行い、事業者がよぶんに造った床を売ることで事業費をまかなう、 だから権利者はお金の持ち出しなしに新しい床に入れるのだと思ってしまう。 「よぶんにつくった床」「高度利用で新たに生み出されたビル床」を「保留床」と呼ぶとも説明される。 国は、未だにこの「保留床」のことを「余剰の部分」 (国土交通省監修『逐条解説改訂8 版都市再開発法解説』(375 頁)、大成出版社、2019 年)と呼んだりしている。

事業会計上はそのとおりだろうが、ここで大いなる誤解が与えられる。

現代の再開発っていうと、まずは後者の「保留床」がメインなのだ。 保留床は、再開発の事業者である施行者が手元に「保留」しておく床で、 かつては「余剰床」ともよばれ事業者はこれを大手デベロッパーや役所に引き渡してしまう。

別図をご覧いただきたい。

鹿児島市でもうすぐ竣工となる鹿児島中央駅前19・20 番街区再開発の絵図面だ。 なんでこんなものを紹介するかというと、正直なコンサルタントが現代の再開発をリアルに描いて説明していたからだ。 他方、どこの再開発の説明会でもよく使われている国の描く絵図面がある(前記ホームページ参照)。 そこでは地元が入る権利床が半分、保留床が半分と8 階建てのビルが示されている。これが誤解の元図面である。 こんな再開発は現代では希少価値である。大半が鹿児島の正直コンサルタントが描いたようなイメージだ。

何が示されていたか。コンサルタントの提示の絵に筆者がメッシュを入れて勘定しやすくした。 比率は変わらない。お部屋数のようにメッシュを勘定してみると、ぜんぶで85 コマある。 そのうち地元の入る権利床は9 コマ、わずか11%に過ぎない。地元のお部屋の割合が11%ということは、 土地、敷地の所有権もだいたいそれに比例しているから、11%だ。 つまりそれぞれの地元権利者は自分の土地の9 割を手放して真新しい立派なビル床をいただくに過ぎない。

裏を返して、デベロッパー側からいえば「再開発」は「地上げ」そのものなのだ。 9 割方、黄色部分は保留床、外部の者の床となる。

だから再開発のキーワードの第一は、保留床であり、権利床は二の次、三の次、わずかなものである。 この地上げの操作を役所の権限と同じく強制的に行うことが「権利変換」にほかならず、 これまでの土地建物の権利をビル床の権利に置き換えることだ。

1980 年代、かつて中曽根康弘さんが首相だったアーバンルネッサンスの頃も、 一大マンションブームだった。マンションといえば「地上げ」そのものであり、 お金を積む、脅迫する、地権者が言うことをきかなければ火付けもあった。 日々、不法行為の連続がテレビ、新聞をにぎわせた。

今は違う。2002 年都市再生特別措置法制度化以降は、 「都市開発は民間活力と時間管理」がキャッチフレーズとなり、 80 年代の地上げ屋さんの仕事はなくなった。さまざまな法整備のもとで、 行政の公権力をフルに活用してこのマンションなどの不動産事業の用地手当てが始まった。 これが「都市再生下の再開発」の現実だ。

時代を超えて、再開発も説明の順序を変えなければならないのだ。 「保留床」は「余剰の部分」にあらず、「保留床」こそが再開発の姿である。 だから「再開発事業は地権者が組合をつくって行う地権者事業」であるというのは大いなる誤解である。

そこら中にそびえ立つタワーマンションの多くは再開発で整備されているが、 8、9 割方は「保留床」であり、大手デベロッパー、ゼネコンの「売り上げ」そのものがそびえ立っているといってよい。

●広がる市民・権利者の運動

筆者も顔を出させていただいた本年9 月2 日の景住ネット 「神楽坂サロン9 月 コロナ禍 再開発の今」(Zoo m 交流会)でも、 各地から再開発のご報告があった。メイン4本のご報告のうち、3 本が前述した再開発、 「都市再開発法にもとづく市街地再開発事業」だった。 いま一つが千代田区でいま百条委員会に区長がしょっぴかれている番町の超高層ビル整備とおなじく 「総合設計制度」によるとのことだ。

いずれも広い意味では「再開発」とよばれる。

ご報告をお聞きして、昨今の再開発が市民の大きな運動になっているんだなあと感じさせられた。 かつての時代の権利者主体の権利者運動とは異なる。

川崎市宮前区鷺沼駅前の再開発をめぐる運動も、 三島市三島駅南口東のグラウンドワーク三島の方々の運動にしても、 万を超える市民運動のスケールで意見書を出したり署名運動を展開しているとのことだ。 千代田区番町でも日本テレビ通りをめぐる超高層ビル整備に市民がノーと言う声をつきつけ運動が広がっているというお話だった。 昭和の時代の再開発とことなり、現代の再開発では、 超高層を実現することから地域の住環境への影響も広く測り知れないことが示されていた。

自治体財政への影響も多大なものがある。

三島市では、市民の行った情報公開請求でようやくデベロッパー作成の「事業協力者提案」が公開された。 「事業協力者」とは、大半の再開発ビルの床を引き受けるデベロッパーのことで、 この再開発をしきる業者グループである。準備段階から地域に入り込み、 地元の名士さんを口説き準備組合を組織させる。 その「提案」をみると、なんと総事業費210 億円のうち93 億円が補助金であることが判明した。 総事業費の44%が税金の再開発事業だったのだ。

川崎市では事業の全体像の分かる情報、補助金額などはひた隠しだったようだ。 やむなく市民運動側で各地の補助金額投入額が2 割、 3 割になっていることを前提にした再開発事業の全体像を想定する作業を進めたということだ。 すると2 割、3 割を占める補助金が、 けっきょくは再開発ビルの8 割方を占めるデベロッパーのビル床購入の原価引き下げとなり、 不動産事業として強い価格競争力をつくる目的だったことを明らかにした (「宮前区役所・市民館・図書館の移転に反対し鷺沼駅前再開発を考える会」ホームページ)。

ご報告では、コロナ禍、財政逼迫の中、 このような膨大な財政投入を当て込んだ企業利益追求の再開発を認めていいのだろうかという問題提起もされた。

しかし一度走り出したら止まらないのが再開発事業だ。

中央区月島三丁目南北の再開発は、 都市計画決定段階で大きな市民運動と権利者の住民運動が広げられたものの、事業が強行され、 今や再開発の事業主体である市街地再開発組合の設立認可段階まで立ち至っている。 「愛する月島を守る会」がこの間、 超高層ビル群よりも月島三丁目の街並みを生かした代替案を出し運動を広げてきた。 また都市計画決定に対する裁判にもとりくんできた。 しかし東京地裁、高裁から「都市計画決定には処分性がない」なる形式論理的な結論を押しつけられ、 いま最高裁に上告中とのことだ。その間、わずか1ha の施行区域に190 m(南)、 1.5ha の区域に199 m(北)にも及ぶ超高層ビルをつくる都市計画決定を中央区は強行し、 組合設立段階となった。

まさに準備段階を突破されると「一度走り出したら止まらない」のもこれまでの再開発なのだ。

●本当に止まらないのか

しかし世の中、何が起きるか分からないものである。筆者も長年、市民運動、住民運動の側から再開発事業に向き合ってきたが、 こんなことは初めてのことだった。事業の手続き最終盤にあたる「権利変換計画」が、 再開発反対を公約にかかげ当選した市長が認可しなかったのだ。これに対して、 再開発組合が再開発反対の新市長の「不認可処分は裁量権の逸脱」と訴えた。訴訟は徳島地裁、 高松高裁と組合側の敗訴となり最高裁へ上告。しかしついに 2019 年 2 月8日、最高裁が再開発組合の上告を「不受理」として決着した。 再開発に反対と公約を掲げて当選した徳島市長の「不認可処分」は、市長として正当な裁量権だったとして認められたのである。 かくして徳島市新町西地区の市街地再開発事業は中止となった。

いまだ再開発組合が解散できないのは、ゼネコンが貸し込んだ 6 億円の借金が返せないためだ。 再開発組合は、徳島市が認可しなかったことにより膨大な損害を被ったとして、市に損害賠償を求めて訴え、争いの場は高裁に持ち上がっている。

まさに首の皮一枚の逆転だった。

他方、無理やり再開発事業に突き進んで破たんした津山市中央街区・アルネでの事例はつとに有名だ。 破たん処理で再開発組合の権利者のビル床が差し押さえられ、権利者は権利床財産を失うという目にあったのだ。 これは津山市のホームページが子細に報告している(津山市議会「再開発事業に関する調査特別委員会最終報告」(24 頁立て、2007 年)参照、 「港区泉岳寺周辺地区再開発を心配する会」ホームページ)。

コロナ禍、財政が大幅に絞られ、マンション販売がほぼ止まったかにみえる中、 各地で無理やり都市計画決定や本組合設立に突き進む再開発はどうなるか。 オリンピック選手村でほぼ竣工した 5600 戸のマンション群が市場に出されるこの数年後、不動産市場はどういう変貌をとげるか。

●何をかかげて運動を広げるか

膨大な財政投入、超高層を支える特別な都市計画の緩和、強制執行権の付与、これらはまさに公権力の行使そのものだ。 本当の意味での「公共性」を問う運動が求められている。

つぶさに情報公開をして市民、住民の判断を仰いだのか、みんなの願い、要望を実現した計画か、自然環境、 住環境を十分に配慮したか、財政のお金の使い道からみてバランスのとれた計画的な予算が立てられているか、 など「公共性」に必須な要件に照らしてどう判断するか。 なにも「役所が判断したから公共性がある」という時代はとうに去っている。 大手デベロッパー、ゼネコンも「私益」ばかりを追求することなく、 しっかりと「公共性」の立場に立って社会に奉公する事業を構想するべきではないのか。