傍聴には17名が参加しました。質疑では、石川議員(共産党)の質疑が時間も内容も多かったので、 その質疑を中心に報告します。他の政党議員の発言要旨と市の回答を1問1答に要約しまとめました。
市からは、基本方針策定の説明と今後の取り組みについて、説明がありました。
「宮前区のまちづくりにおける公共機能検討会議」を設置し、3つの部会を設けて検討をすすめる。
① 新宮前市民館・図書館・区役所整備検討部会(教育委員会事務局)
② 現区役所等施設・用地活用検討部会(財政局)
③ 向ヶ丘出張所機能検討部会(市民文化局)とする。
今年度上半期に環境アセスメント手続き、 今年度中に都市計画手続きと新市民館・図書館の基本計画案公表のとのことです。
現区役所・市民館・図書館を廃止し、鷺沼に新たに設置するという、区民の暮らしを大きく変える重要問題を、 区民周知10%で、以降の周知度把握もないまま、「事業者を待たせるわけにいかない」ことを理由に決定した市の行政姿勢が大きく問われた。
石川議員が厳しく追及したが、他党議員からも今後の区民周知を求める声が多くだされた。
これは憲法が定める住民自治や市の自治基本条例にも反する行為であり、市に対して厳しく反省を求め、今後の周知徹底を求めたい。
市民館・図書館は市内7区と比較しても、宮前区は圧倒的に少ない。社会教育施設として大事な役割を果たしており、特に図書館は、 文化・歴史の貴重な宝庫であり、図書館司書によるアドバイスは区民の課題解決に大いに役立っている。 そればかりか学童生徒の居場所として地域のコミュニテイ拠点としても重要な役割を果たしていることが市の社会教育委員会議の研究報告書からも明らかとなった。
市は、人口減少などを理由に増やす計画はないという説明に終始したが、人口が川崎より少ない 「さいたま市」が川崎市の2倍も図書館があることからも市が図書館をどの程度重要視しているかの姿勢の現れと思われた。 区民の要望に応えて欲しいと切に願う。
平成29年度鷺沼駅周辺地区まちづくり推進業務報告書の中に示されている「沿線まちづくりイメージ図」には驚いた。 区民が知らない間に、行政と東急により作成されたものだが、駅前以外の構想も検討されている。 高齢者は金融資産の3分の2を所有する金持ち、この高齢者を駅前の高層ビルに移し、跡住居を若者に住まわせるという「住み替え」が構想されている。
区民が知らないところで、東急と行政の都合で高齢者は駅前の高層ビルへの「住み替えターゲット」にされているのだ。 行政権限を越えた構想であり、鷺沼開発には、地域の形そのものを変えていこうとしているのかもしれない。 今後こうした検討も必要となってくるかと思う内容だ。
今後の環境アセスや都市計画決定が今年度中に行われる。早ければ7月頃から動きが出て来そうだ。 事業者による説明会があり、区民が意見を言える機会があるので、大いに意見をあげていく必要がある。 日程はわかり次第連絡することとする。
再開発の補助金は、市が3分の1、国が3分の1で事業者の支出はわずか3分の1という説明には驚いた。民間の再開発事業なのに、いかに多額の補助金という税金が再開発に投入されるか見せつけられた思い。
補助金や公益施設の床取得のため、公費支出(税金)は多額であり、葛飾区立石駅前再開発では総事業費から駅前広場整備費を除796憶円の80%を支出、さいたま市大宮駅前開発では総事業費620憶円の60%を支出している。さいたま市の公益施設購入の床取得金は、民間の2~3倍も割高に買わされており、問題になっている。
駅前再開発が破綻した青森市では、市が全責任を負わされ、市長が引責辞任、17億円の債務放棄した他、ビルには区役所・図書館など公共施設全面投入するはめになった。
小杉駅周辺地区の投入事業費(公費)はまちづくり予算が462憶円(まちづくり費以外を含むと847憶円)も投入された。限られた税収を、再開発最優先で使用するべきことなのか? 区民の暮らし優先でやるべきことがあるのではないかと疑問に思う。まして今回の再開発では、望んでもいない不便地域が沢山生まれるというのに。
防災機能は2拠点で問題ないというが、本当にそうなのか?外部専門家による基礎調査では宮前平が優位としており、 鷺沼に対策本部となる区役所を設置する場合は、2拠点体制が必要だとしている。 市のパブコメのまとめでも2拠点の場合は連絡調整のデメリットがあることを認めている。 今後30年間に大地震が7割の確率と言われる中で、鷺沼は沢地の埋め立て地で土砂災害警戒区域に指定されている所、 17メートルにわたる軟弱地盤があることの危険性をどの程度市は認識しているのかと心配になる。 設置されてから長年を経過した線路内擁壁の強度も今だに確認していないというのだ。
そこまでの危険を冒してまで、反対が強い区役所を鷺沼に持っていく狙いはなんなのか? 国の市街地再開発方針で言われているのは、開発事業者が確実に収益をあげる方法として 「公的不動産の活用」がある。区役所・市民館・図書館は市民のためのコミュニテイ拠点施設なのに、 公的不動産として活用の対象になっているのだ。
本来の目的通り、区民のためのコミニテイ拠点施設であることを念頭に計画化して欲しい。
パブコメの集計のしかたについての意見がだされた。「同じ形式でだされた意見は1通としてカウントしてください」と言う意見だ。 パブコメをやる意味は、どのような内容の意見が何人からだされているかを見て、行政施策に反映させることです。 同じ形式の意見を1通としてカウントすると、何人の方から出された意見かが不明になる。
考える会の呼びかけで多くの方が意見をだされたが、同じ意見は1通扱いとすれば、パブコメの意味がなくなり、 民主主義の否定になりかねない。今回の市の集計では、内容と人数がだされており、集計方法の変更は必要ないことである。
鷺沼駅前再開発をするなら、現区役所跡地の活用、向丘出張所のことや、 都市計画道路のことなど同時並行的に示すべきだという自民党議員さんからの発言があった。 これは重要な指摘であると思う。
今回の鷺沼再開発は、現区役所廃止、鷺沼に移転という不便地域が生じる問題にも関わらず、 これらの対策を後まわしにして区民の声も聴かず基本方針を決めたことに重大な問題がある。
考える会では、「この再開発は1年2年で終わり、喉元すぎれば熱さを忘れる。決めてしまえば区民はあきらめる」 というような単純なものではありません。
憲法に保障されている住民自治や川崎市自治基本条例に反す形での基本方針の決定は、 民主主義と街を壊すものであり、認められせん。考える会は、区民23万人の暮らしがよくなる宮前区づくりに向けて、 区民の皆さんと声をあげていきたいと考えます。
質疑内容 1~6までは、石川議員(共産党)
7は、他の政党議員
質問1.23,714件のパブコメ意見をどう受け止めるか?
回答1:重く受け止めている。関心の高さ、思いの強さの表れと思う。
質問・提案もあるが全体として反対意見が多かったという認識だ。
質問2.市は、「鷺沼駅前にどのような機能が必用か」を聞いてきたが、それでは「移転すべき」に繋がらない。どうして移転を決めたのか? 時間をかけて検討すべきの意見が出ていた。
回答2.未来の街の核をどうつくるか、未来につながる契機としてとらえて、総合的に考えて決めた。総合計画に位置付けられている。
「時間をかけて検討すべき」の意見と「早期に示せ」(事業者)の意見もあった。
質問3.この問題の認知度はどの位だ。方針決定は、全区民の意見をつかんだ上で決める必要がある。2018年6月以降の周知度は調査したの?
回答3.18年6月のアンケートでは「知っている」は10%、以降に全区的調査はしていない。
周知は難しい、できる限りのことはやっている。
質問4.周知については行政の説明責任がある。今後周知度を調べるのか?
回答4.イベント等を通じてヒヤリングや意見聴衆をする。認知度を含めて検討委員会で検討する。
質問1.市民館・図書館は、地域の拠点施設だ。宮前区は他区より少ない。増やすチャンスなのにどうして1つなのか?
回答1.現時点で増やす予定はない。既存の市民館・図書館を軸として学校などの施設と連携することで生涯学習をすすめる。
質問2.人口減少を見すえて検討が求められているのか?
回答2.人口減少でも身近なサービスを模索すべきだが、人口減少は重要な要素だ。
質問3.宮前区は人口は、2060年でも21.3万人もいる。減少は少ない。どの位減少したら増やさなくてもよいと考えるのか? さいたま市は川崎より人口が128万人と少ないのに図書館数は川崎の12館に比べ25館もある。現状で不足していれば作るべきだ。
回答3.重く受け止めている
質問4.重く受け止めたらなら、今後どうするのか?見直しの契機にすべきだ。
回答4.社会教育委員会としては、跡地利用があるので、そういった時に「そういった意見が多かった」ことを重く受け止めたい。
質問1.まちづくり局がまとめた「平成29年度鷺沼駅周辺地区まちづくり推進業務報告書」の中に「沿線まちづくりのイメージ図」がある。それによると、けやき平や宮前区役所周辺の高齢者を鷺沼駅前高層ビルに移して、跡住宅に若者を住まわせる「住み替え」が構想されている。これは、行政の計画か?
回答1.2015年に市は東急(㈱)と市が包括連携協定を結び、バスネットワークでつなぐコンパクトな街づくりを進めている。この構想は市と東急の連携で作成したものだ。
質問2.区民が知らない間に、こうした構想が作られるのは、連携を超える事業者本位の街づくりであり大きな問題だ。
回答2.イメージ提示であり、具体的なものではない。具体化した段階では区民に説明する。
意見3.住民のための街づくりか、事業者のための地域再開発か、事業者本位であってはならない。
(ちなみに本構想の沿線まちづくりイメージ図によれば、高齢者は時間や貯金も多い、個人金融資産の内シニア層が3分の2をしめている。高齢者は人との繋がりや尊敬されることを求めている)としてビジネス対象の視点でイメージされていることが気になる。
質問1.今後の環境アセスや都市計画手続きのスケジュールについてどのように考えているか。
回答1.環境アセスは今年度の上半期(9月頃まで)になる。都市計画手続きは今年度中になる。
質問2.駅前街区と北街区の敷地面積はどの位か
回答2.全体で1.9ha. 北街区は4000㎡、駅前街区は12000㎡。ビルの高さは未定。
質問3.東急とは、いつから開発協議をしてきたのか。
回答3.2015年6月に市と東急㈱は、包括連携協定を結び、2017年に準備組合を設立し、具体的な検討がされてきた。
質問1.再開発への補助金はどうなるか。他都市の例では、補助金と公共施設の床取得のための公金支出が事業費全体の8割にも及ぶ高額な例も聞いている。鷺沼の場合はどうか。
回答1.法定の市街地開発の補助金として、川崎市が3分の1、国が3<分の1、事業者が3分の1の支出となる。公共機能の床取得金は別途支出となる。施設計画が決まったら大枠の事業費がきまる。
質問1.基本方針では、鷺沼と現区役所の2拠点体制としているが、1か所にした方がメリットがあるのか。2拠点の方がメリットがあるのか?
回答1.区民は1拠点の方が安心感があるが、機能的には離れていても連携するので問題はない。
消防署も警察も自律的に別々に動くので、区役所の対策本部がどこにあっても問題ない。
(市の説明では、2拠点によることの連絡調整上のデメリットがあることは認めている)
質問2.鷺沼駅周辺は沢地を埋め立てた17mに及び軟弱地盤だ。専門的検討をどうするのか。
回答2.市は大規模造成地について調査してきているが、ボーリング調査は、ある程度の精度があるので、再度のボーリング調査は必要ない。
質問3.(大地震の際)の道路陥没や線路内の擁壁は相当以前に作られており、確認が必用だ。
回答3.線路内擁壁は鉄道事業者が作っているので、鉄道側に確認する。
添田(無所属)
意見1.この問題は、区民に関心が高く大事な問題だから、区民への周知が大事だ。市は担当者任せですむことではない。「説明があるから来てください」ではなくて、区民に近づいて直接聞くことが大事だ。跡地に子育て、介護は外してはいけない。オープンにして区民と考えるべきだ。
回答1.今後の検討に生かす。区役所では職員に説明したが、地域包括で地域に出る保健士や栄養士に地域に出て話すことはできると思う。
山崎議員(自民党)
意見2.図書館についてのアンケートを600人を対象に実施予定というが、600人の根拠は? 地域特性を踏まえて最大公約数の意見をとらないと難しい。小さな意見も汲み取るように。
回答2.少ないという意見もあるかと思うが、大枠をつかむため、その他にも図書館利用者からのアンケートも検討する。
秋田議員(無所属)
意見3、説明責任を果たすには、違う方法を考えることが必要だ。イベントなど、生活者全てを視野に入れてやることが必用だ。説明ではなく一緒に考えることが必用、日常の生活をしている区民は応えに準備がかかることを考えて(念頭に)やることが必要だ。
浜田議員(公明党)
意見4、区民祭に意見を聴衆するならブース、コーナーを設けるのか?積極的に発信しないとダメだ。
市政だよりは目立つような掲載して欲しい。
回答4.労働会館の時はイベントを通じて意見交換会をしたり、ブースを設けたりしたので、そうしたことを参考にしたい。市政だよりでは、区民に伝わるようにしたい。
天笠議員(みらい)
意見5、パブコメのまとめとしては、意見の実数を知りたいので、同じ形式で出されたものは、1通としてカンウトした資料を提出してください。
基準Dが8117通とかかれると、反対(意見)が多く感じてしまう。
石川議員(共産党)
意見6.パブコメのまとめでは「OOの意見がO通」としてまとめているので、これでよいと思う。
パブコメの集計を変更することであれば異議がある。
回答5・6 担当部局と協議したい。
<詳細は、市のホームページより動画再生でごらんください>
期日:2019年5月31日(金)12:30~
議題:鷺沼駅周辺再開発に伴う公共機能に関する基本方針の策定及び取組みの推進について
質疑内容
小平議員(みらい)
意見1.市は、宮前平の駅中心の利便性をどうとらえているのか? 反対する方々の利便性をいじることは考えられないか? よりそった形での対応が必要だ。
回答1.急な坂道、徒歩10分。
勝又議員(共産党)
意見.パブコメに17,829通もの意見書が出され、反対が21,606件もあったのは、これまでの武蔵小杉の再開発に次ぐ多さだ。98%の意見が賛成をしていない。このことをどう捉えるのか?
回答1.意見や要望もあるが、反対意見が多かったことは、重く受け止めている。
質問2 認知度はどの位か? 数字で周知度を把握する必要がある。
回答2 アンケートで「知っている」と答えた人は10%だが、少し知っている人を含めるともっと多い。今後ホームページや市政だよりで周知を高める。
質問3、宮前区は他都市や他区に比べて市民館・図書館が少ない。この機会に増やすことが必要だ。
回答3.現在の段階では、増やす予定はない。既存の市民館・図書館を軸として学校などの施設を有効活用して生涯学習をすすめる。今後は連携を含めて検討する。
質問4.川崎市社会教育委員会会議の2014年~15年度研究報告書によると、「児童生徒の図書館登録者数は、他区の駅前図書館よりも駅より離れている宮前区や幸区図書館の方が多い。本を借りるだけではなく、居場所にもなっているのだ。このことから言えるのは、「駅から近い方が図書館機能を果たせる」ということにならないとまとめているが、このことをどう考えるのか?
意見5.現図書館を廃止してよいという意見は出ていない。不便地域をつくらないためにも増やすことが重要だ。
田村議員((みらい)
質問1.現状の庁舎はどうなっているか?
回答1.麻生、多摩、宮前、幸は市民館・図書館を含む総合庁舎になっている。
浅野議員(自民党)
質問1.周知が足りず区民にわかってもらえるパブコメになっていなかったのではないか。今後、現区役所と向丘を同時並行して示さないといけない。移転するなら、どのように不便解消できるか都市計画道路を同時並行で責任をもって示すべきだ。駅前の交通対策、車が沢山きた時、大丈夫か、駅舎、ペリストリアンデッキが具体的に示されていない。今の区役所広場では若者がダンスを楽しんでおり、多様性のスポーツは貴重だ。その場がなくなるとどう担保するのか。鷺沼行政センターは私が提案し作った。宮前平か宮崎台か他の場所かに作るべきだ。
回答1.駅前開発内容は、今後設計の中で示す。若者の文化を考えて検討する。都市計画道路は令和7年までの道路整備として取り組んでいく。行政サービスコーナーは検討する。
片柳議員(共産党)
質問1.川崎市は図書館が少ない。2015年時に人口が128万人と川崎市より少ないさいたま市は図書が25館あるのに比べ川崎市は12館だ。この機会に図書館を増やすことが必要ではないか。
回答1.現段階では増やす予定はない。学校施設など既存図書館の有効活用を進める。
質問2 川崎市社会教育委員会議の2014年~2015年の研究報告書によれば、図書館が駅に近い所にある所よりも駅から離れた所にある宮前区などの図書館の児童生徒の登録が多いことをみれば、図書館は本を借りるだけではなく、居場所にもなっているという。この指摘をどうとらえるのか?
図書館を廃止してもよいという意見はでていない。不便地域をつくらないためにも存続させることが重要だ。
質問3.図書館は団体や個人など市民が集まるコミニテイの核となっている。
また、公共図書館には、区民が読みたい本を探す際のよきアドバイザーになる等、課題解決のための役割があるが、市はどのように考えているのか?
回答3.学習支援の役割を受け継いでいく。図書館には歴史や文化を受け継ぐ、貴重な情報拠点である。
これまで通り事業を継続していく。
意見4.学習・交流を支える役割があるとすれば廃止すべきではない。子供が社会からの孤立を防ぐ役割もある。分館構想が益々求められる施設だ。コミニテイ作りを含めて検討を要望したい。
吉沢議員(無所属)
質問1.区役所は築36年であることを考えれば、ソーシャルデザインセンター等、今後の有効活用が必要ではないか。
回答1.市の公共建築物長寿命化では60年以上とされている。大規模修繕が必要だが、費用対効果を考えて、今のまま使うのか、別の利用があるのかを考えて方向性を出す。
以上