川崎市が「現宮前区役所等施設・用地の跡地活用」に向けたヒアリングを開始する

2022年3月28日 

現宮前区役所等の存続と鷺沼再開発を考える会
猪俣・小久保

 ほとんどの区民に知らせないまま、跡地活用について一部行政関係団体を対象にしたヒアリングが22年1月から開始されました。

市は「現宮前区役所等施設・用地の活用に向けた検討に関する考え方」の説明を行い、各団体からは市民館や図書館の利用頻度・人数等を聞き取りしていますが、跡地活用についての意見交換はコロナ禍を理由に人数制限・時間制限のため全く不十分の状況です。

「跡地活用の検討に関する考え方」の大事な資料はHPに掲載もなく、市民には知らされていません。区民生活に多大な影響をもたらす重要課題であり、区民意見反映のために、全区民に知らせる手立てをとるべきです。 

 <市が作成した「現宮前区役所等施設・用地の活用に向けた検討に関する考え方」の概要>

2023年度に跡地活用の基本方針を策定する

 ① 地域課題や行政需要、地域ニーズを整理し宮前区全体の魅力や安全安心の暮らしの向上をめざす

 ② 用地は市が保有することを前提に民間活力の活用可能性を含め検討する

 ③ 資産マネージメント(長寿命化以外に土地売却・民間貸付・民間活力導入も含む)と整合性をはかる

 ④ 市民参加による検討をするとして、地域団体・利用団体のヒアリング、2000人のアンケート、ワークショップを実施する


 
<上記の「考え方」に関する意見と問題点について>

 第1に跡地活用のヒアリングは鷺沼再開発見直し後に開催するべきではありませんか。

 準備組合の東急はコロナ禍の見直しに3年かかるとしており、見直し内容が不明な現段階で跡地活用のヒアリングを急ぐことは問題です。まずは区役所等施設の移転先である鷺沼再開発の見直し内容を明確にし、住民説明・環境アセス・都市計画決定後に実施すべきです。

 第2に、区役所・市民館・図書館は全区民のもの、一部の行政関係団体のヒアリングに終わることなく、全区民を対象に意見を聞く場を設けていただきたい。

 区役所・市民館・図書館は区のコミュニテイ拠点です。跡地活用は、一部の行政関係団体に限定せず、全区民誰もが参加し意見を言える場の設定(移転検討の際は市民フォーラムを開催)や全区民対象のアンケートを実施してください。
 また、今の市民館・図書館の利用登録団体には必ずヒアリングをしてください。

 第3に宮前区最大の地域課題・地域ニーズは21年5月に10,417名の多数区民が陳情署名として市に提出した「現区役所・市民館・図書館の存続」ではないでしょうか。

 「地域課題や地域ニーズを区民から聞いて方針を決める」としていますが、一番大事なことは、区役所・市民館・図書館の移転で不便になる地域・住民が沢山生じることです。
 コロナ禍にもかかわらず短期間に10,417名の人が「現区役所・市民館・図書館の存続と鷺沼にも区役所支所・市民館・図書館の設置をすること」を陳情署名で求めています。このことを抜きにして地域ニーズは語れないのではないでしょうか!
 「現区役所・市民館・図書館の存続」こそ、地域ニーズです。

 第4に跡地活用は経済的な採算性に左右される民間企業ではなく、区民ニーズに応える公有地として確約していただきたい。

 跡地は「公有地として市が保有し続けることを基本にする」としていますが、一方では民間活力の活用可能性の検討をするとしています。民間企業は利益優先であり、採算に合わなければ利用料金を引き上げたり事業を撤退することもあります。
 採算性に左右されず住民ニーズに応える施設にするために公的所有が不可欠です。

 第5に跡地活用のとりまとめは、民間企業にお任せではなく市の責任で行うべきです。

 市はこれまで、「区役所移転」「新しい図書館・市民館」「向丘出張所の活用」等の基本方針策定にあたり住民意見のとりまとめを石塚計画デザイン(株)に委託してきましたが、跡地活用についても748万円で同企業に委託しました。
 企業に委託する条件は市の方針に合致する企業であることから、結果はおのずと知れています。
 市の方針に沿ってまとめるため、批判的な住民意見は反映されないという苦い経験をこれまで、沢山味わってきました。本来は市がやるべきですが、企業に委託するならば、形だけの市民参加でアリバイ作りをするのではなく、多様な区民意見の反映を保障する運営をしていただきたいと思います。

                                         以上